旧ソ連(ソビエト社会主義共和国連邦)のイメージが強く、近くて遠い国と言う印象があるロシアを旅したことがある。
日ソ不可侵条約を破棄して一方的に日本に対して攻撃し、多くの日本人をシベリアに抑留した最低の国とはどんなところか、それを見てみたかった。
悪名高いアエロフロートロシア航空に乗りモスクワへ向かった。
機材は古く、座席モニターはなく、パブリックのモニターも故障しているとかで映画の上映もなく、とても暇で退屈なフライトであった。
確か、帰りも同じだったような気がする。
当時の古めかしいモスクワ空港(シェレメーチェヴォ国際空港)に到着したのだが、この空港から一生出してもらえないのではないかという雰囲気を感じた。
いかにも社会主義的な、暗く静かで殺風景な空港だった。
モスクワで乗り継ぎ古都サンクトペテルブルクへ向かい、ブリバリジスカヤホテルという、バルト海に面した大きなホテルに泊まった。
エルミタージュ美術館、エカテリーナ宮殿など見て回ったが、本当に素晴らしかった。
エカテリーナ宮殿には江戸時代に日本人(伊勢国奄芸郡白子(今の三重県鈴鹿市))の回船の船頭である大黒屋光太夫が招かれたとの記録が残っている。
その後、モスクワに戻り、赤の広場、クレムリンの中を見学した。
栄華を誇ったロマノフ王朝のその偉大さを肌で感じることが出来た。
モスクワやサンクトペテルブルクのような大都市には、スターバックス、マクドナルド、ケンタッキー、ピザハットなど米国を代表する西側諸国当然の風景があり、なんだかがっかりした記憶がある。
あのロシアも一皮むけば米国に追随する国になってしまったのかと。
世界標準的な画一的な風景に変化することをとても残念に感じた。
ロシアの人たちは、気さくで穏やか、優しくて面白いという印象が強い。
この人たちが鉄のカーテンがあると言われていたソ連の人たちなのかと、少々信じられない。
我々日本人が一般的にロシアに対して抱いているものとは大いに違う印象を抱いた。