冷麺

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一般的に冷麺とは、朝鮮の冷たい麺、水冷麺(みずれいめん:ムルネンミョン)のことである。
その発祥は北朝鮮の平壌(へいじょう:ピョンヤン)だ。
平壌の人々は真冬でも汁に薄氷の張った冷麺を食べるのだと地元の人が言っていた。
私も以前、平壌に行った際に玉流館(ぎょくりゅうかん:オンニュグァン)という冷麺専門店で本場の水冷麺を食べたことがある。
11月上旬だったろうか、特に朝夕は肌寒さを感じ、夕方は日が暮れると冬のような寒さに近かったことが思い出される。

真鍮の大きい冷麺専用の器に、たっぷりの黒々とした麺と、その上にキムチ、キュウリ、梨、大根の漬物のようなもの、凍ったハム、そしてスープには薄氷が張っている。
副菜にカレイの唐揚げも付いてきた。
ガイド曰く、アントニオ猪木氏が訪朝した折に、この冷麺を30杯食べたと言うから驚きである。
大きめの真鍮の冷麺専用の器は、料理用のボウルの大きい方のサイズとほぼ同じ、食べきれないほどの麺が入っている。
私は2杯半ほど勧められて食べたが、完食するも下痢に見舞われたという苦い思い出がある。腹が冷えたのだろう。
しかし、その味たるや、流石本場、発祥の地だけあって、いまだ且つて何処に行っても、この玉流館で食べた冷麺に勝るものに出会ったことがない。
日本国内は勿論、南朝鮮でもだ。
牛肉のダシが効いたコクのあるスープ。腰が強く、太過ぎず細すぎない蕎麦麺。
平壌では南朝鮮のように麺をハサミで切らずに食べる。
ダイナミックに下からズバッと麺を箸で持ち上げて、酢をかけ回す。
そして、辛子も少々入れてかき混ぜる。
それをガバッと持ち上げて頬張るのだ。
その味が忘れられない。

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