中国を旅して

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初めて中国を訪れたのは、考えてみればもう20年も前のことになるだろうか。主に北京を中心に周ったが、当時の中国はまだ自転車が主流で自動車などは今ほど多くなかったような気がする。
中国に対する想いは、三国志や孔子や孟子、杜甫、西太后、少林寺、漢字発祥の国、三蔵法師、経典を訳した偉大な国等歴史の舞台と尊敬の念が強かった。
今は違うのかというと、日本を脅かす威圧的な国家という想いもあり、半々といったところだろうか。
その後、時を経て北京や上海に行く機会が何度かあり、その時に見た中国は当時とまったく違っていた。
自動車やオートバイが普及し、服装も随分おしゃれになり、東京の街中にいるのと何等変わらない街に発展していた。
これには驚いた、目を見張るものがあり、共産国家とは思えない自由な空気と大らかさを感じた。いよいよ民主化が加速し、西側諸国の仲間入りを果たすのかと思いきや、一方ではますます共産主義色が強くなり、経済発展と共産主義が共存する曖昧な国家になってしまった。
共産主義を標榜しながら資本主義的な政策を推し進める中国は、いつ、どこで計画経済の牙を向くのか不明確というまことに信用に値しない国家であるとつくづく思うのである。
確かに中国はおいしいマーケットではあるが、一度参入したら最後、撤退するにも撤退できない、契約は簡単に反故にされる、しかもそれが悪いことであるとの認識がないなど、リスクは非常に高い。さらに、反日デモが周期的に発生したときの打ち壊しに遭ったときには目も当てられない。
成熟していない、多分これからも成熟しないであろう子供のような国家をまともに相手にするのは骨の折れることである。
少なくとも中国共産党が政権を牛耳っている間はまず大人になるのは無理であろう。
しかし、そんな中国も清、明、それ以前の時代においてはとても輝かしいものがある。
紫禁城(故宮)は明から清へと引き継がれた歴代皇帝の居城であり、その広大な敷地をじっくり見るなら2日はかかるだろう。
数々の歴史の舞台になった紫禁城は、とても興味深く、浪漫をかきたてる。
蘇州の世界文化遺産に指定されている留園もそうであったが、一様に管理が行き届いておらず、清掃もあまりしていないのか汚れが目立つところが非常に残念だ。
万里の長城、明の十三陵の地下宮殿など、その壮大さに圧倒され、流石は大陸であると感心させられると共に、当時の皇帝の権力の偉大さがずっしりと伝わってきた。
さらに驚いたのは、同仁堂という元皇帝の御典医であったという漢方薬研究所だ、日本にも漢方薬専門店を出店しているが、ここで医師というのか薬剤師というのか、白衣を着た流暢な日本語を話す初老の方に脈をとってもらった、脈をとりながら体内の状況をこと細かく説明してもらった。
血液がドロドロとか、血糖値が高いとか、血圧が高いとか、何の自覚症状もなかったこともあり、俄かに信じられず薬を売りたいがための脅しか、と思いつつも薦められる通りに薬を買ってしまったのだが、これがまた驚きである。
結果、薬を買って良かったのだが。
しばらくして健康診断を行う機会があり、結果を見て驚いた、同仁堂で指摘されたこと全てが結果票に記載されていたのだ。

ここしばらく中国へは行っていないが、時折とても懐かしく思い、ゆっくり中国を旅したいと思うのである。
日中関係は良好とは言えず、尖閣問題や中国人による不動産の買い占め、未だ戦争中の問題を引きずり出す中国に強い怒りをおぼえるが、そこが何とも微妙な思いなのだ。

浄土思想を確立し、浄土教を広められ、法然上人が師と仰いだ善導大師は中国(隋)の方であられる。
偉大な教えを生んだ中国大陸は、その懐の深さに改めて感慨を覚える。

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