ホテルフィゲロア

ロサンゼルスのダウンタウンに、フィゲロアホテルという周辺の建物や景観に似つかわしくない古めかしい、古き良きアメリカを彷彿とさせる建物がある。
フィゲロアストリートとオリンピックブルーバードが交差する辺りにあるホテル。
それがフィゲロアホテルである。

私は、初めてロサンゼルスに行ったときに宿泊して以降、度々宿泊してきたお気に入りのホテルだ。
内装は、メキシカンと言おうかモロッコ風と言おうか、クラッシックな独特な雰囲気を醸し出しており、心から落ち着けるのだ。
ロビーにはいつもメキシカン音楽が流れ、暗めのロビーは、私にとっては正に楽園だった。
当時は映画やドラマの撮影で、部分的に使われていた。
中庭のプールにはバーもあり、ハリウッドスターが時々パーティーを開いている。

2017年まで3年半ほどかけて内装工事を行い、リニューアルオープンを果したのだが、リニューアル後のホテルが公開している写真を見た時は、とてもがっかりした。
確かにおしゃれになり、小奇麗になって、何となく高級感も漂っているようだが、同時に何か大事なもの、そうフィゲロアらしさを失ってしまったようで、宿泊する気になれなくなってしまった。
涙が出るほど悲しい。
自分の中にある大事なものが、またひとつ消えてしまった。
改装前は、ロサンゼルスの安ホテルと言えばフィゲロアホテルかメイフェア、そしてカワダホテルが名を連ねていたものだが、それらDクラス仲間からフィゲロアは卒業してしまったらしい。
今では料金も格段に上がり、Aクラスに格上げされているのではないだろうか。
確認する気にもなれないが、きっとそうだと思う。

ブッフェスタイルの朝食、その昔、日本人旅行者華やかなりし頃は、ごはん、味噌汁、味付け海苔、納豆が常にあった。
それがまた美味しかった。
しばらくは別のホテルに宿泊していても、わざわざここまで来て朝食を食べたものだ。
1階にはステーキ専門店もあり、そのステーキが本当に絶品であった。
あんなに美味しいステーキには、未だに出会ったことがない。
そのステーキにはデザートのアイスクリームが付いてくるのだが、そのアイスクリームがこれまた狂おしいほど絶品で、なんというか、バニラと言うよりは搾りたての牛乳を食べているような、甘さ控えめで濃厚な味だった。

今はもうこれらのレストランは消えてしまった。
あれは夢だったのか・・・・・

古き良きものが、どんどん失われていくのは、本当に残念なことだし、とても悔しい。
大事なものは時とともに失われてしまうのだろうか。

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