子供の頃の不思議な話(後編)

ある日、友人と待ち合わせをした。
待ち合わせ場所は友人の自宅玄関前である。
私は待ち合わせ時間に遅れそうになっていたため、相当焦っており、準備もそこそこに車に乗り込んだ。
完全に遅刻をするであろう時間に自宅を出たため、運転中も落ち着かず、ハンドルは汗で滑るほど濡れていた。
田舎の真っ暗な夜道、畦道の中、車のヘッドライトの灯りみを頼りに走る。

やっと、友人の住む集落の灯りが見えはじめた。
私は友人宅の玄関前まで行くと、玄関の灯りが消えており、玄関の外で待っているはずの友人もいない。
待ち合わせ時間より10分ほど遅れてしまったが、10分の遅れで怒ってしまったのか、だとしたら申し訳ないことをしたと車から降り、玄関の呼鈴を鳴らした。

そこに現れたのは、私を見て不思議そうな顔をしている友人である。
そして少々怒り気味だ。
私が遅れたことを謝罪し、機嫌を直して欲しいと言うと、妙なことを言い始めた。
「さっきシカトして素通りしただろ、一体どういうつもりだ」と、私は一体何を言っているのかと思うと同時に、遅れたことに対して怒っているのではないのだと、そんなことにほっとしていた。

友人はまた再び声を荒げ「あれは一体どういうつもりなんだ」と興奮している。
どういうつもりだと言われても、私はたったいま来たばかりなのだ。
私は正直に「いや、今来たばかりだ、遅れそうになったから相当焦ってここに来た」と説明したが、友人は「本当か?」と訝しがっていたが、本当であると強調すると、友人は徐々に青ざめ、恍惚の表情になった。
「そういえば、こっちをまったく見ないで前だけを凝視して過ぎ去っていった。だから少し妙だと思った」と、友人は言い、絶対に私と同一人物であったと言い張っていた。
ドッペルゲルガー現象であろうか。
つまり、生霊のことである。

生霊は時として念を強く向けた場所や、残した場所に現れるからだ。
ドッペルゲルガー現象により、もう一人の自分に出くわすと死ぬと言われているが真意の程は不明だ。
その後、同様なことは起こっていないが、もしかすると自分が気付いていないだけかも知れない。

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