日本の鉄道

SLと言われる蒸気機関車がまだ日本各地で煙を上げていた時代に私は生まれた。
バスなども今のようにワンマンではなく、車掌がいて乗車扉の開閉と精算を行っていた時代だ。
当時のバスはボンネット型で、床は木製であったことを覚えている。
しかし、物心ついた時には、すでに汽車はディーゼルや電車に変わっていた。
だから、私はSLに乗ったことがなかった。

鉄道の近くで生まれて育った私には、そのSLの姿や音の記憶が残っていたのか、つい最近SLに乗った時は、その雄姿、におい、音、感覚を全身全霊で感じ、涙がでた。
何とも言えない懐かしさ、自身の鼓動と連動する振動、全身が震えた。
遠い遠い記憶の中で、自宅の裏を走っていた姿と畑から眺めるその姿、昔亡くなった家族の思い出が一気に甦るのだった。

鉄道も汽車と呼ばれていた時代から電車と呼ばれるようになり、時代の流れと共に車両が変わり、速度も速くなり新幹線の登場で消えていった電車も沢山ある。
国鉄時代の車両が年々姿を消していくのはとても淋しく感じる。
寝台列車などは、もはやサンライズ瀬戸・出雲以外通常運転しているものは消えてしまった。
日本海、北斗星、トワイライトエクスプレス、あさかぜ、さくら等々、もう走っていないのである。
特急列車も新幹線の普及と共に去っていった車両があまたとある。

速さ、早さだけを追求するというのも何とも味気なく、旅の情緒が感じられないつまらない時代になってしまったのだと、しみじみ感じるのである。
リニアモーターカーが開通し、リニアモーターカーに乗ったら、きっと駅弁の紐を解いた瞬間に降車駅に着いてしまうのではないか。

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